父が美術大学に行っていたというのを知ったのは
私がずいぶん大きくなってからのような記憶があります。

けど私は父の絵を見たことがない

ということを、この間ぼーっと父の事を考えていて
気が付きました

三男で好きな絵を描く生活が
二人の兄を亡くして「長男」になって
大学を中退して家に戻ったとー
父本人からでなく多分叔母あたりからきいたような

祖父は早くに亡くなっていました

んで、父は絵とはまるで関係ない経理事務の仕事に就いて
結婚後、たまたまの縁で店を譲り受け自営業に
そして朝早くから遅くまで仕事…

その生活の中で父が絵を描いたりするのを
見たこともないし
絵を描いていたということなど
話題にしたこともなかったですよ

私が高校進学の時、地元の美術高校を志望した時にさえ
そんな話はまるで出なくて…

でも、美術大学に行っていたと知った後
父が水墨画の通信の教材を買ってしまっていたのを見つけた時

「なんでやらないの?」と聞いたことがあって

その時「いつか引退して時間ができたらと思って」と言った言葉

「確かに今は仕事仕事で時間ないもんね」と少しだけ納得した自分

それをずっと思い出しては
「いつかなんて来なかったじゃん」と
亡くなった父に向けて心の中でつぶやいています

父に聞きたいことはたくさんあったのですが
それはもういいかと思えるようになってきて

ただ年が明けてなんとなく

父が描いた絵

父が描きたかった絵はどんなだったんだろう

観たかったな思い始めて

そう思ったら
「いつか時間ができたら」と思っていたものより
「今やりたいことは今」だなぁと
改めて思ったりしたのでした

うん、観たかったなぁ…